推しの名前を一度も出さずに推しを語る 夏のスーベニアでセめて、熟れ。
スーベニア スーヴェニア
高校の時にも聴いたことがある気がする単語だったけれど、
今になってこの言葉と対面した時に思った。
彼のことを言葉にしようと
黄色が似合っているかはわからない。
明るく、ポジティブな色だと思っている。太陽やひまわり、雷。全てエネルギーが多く注ぎ込まれたものにしか使われない色だ。
彼が輝く黄色をまとう時は、薄いメッキではなく簡単には剥がれないそれを全身に塗るのだろう。
ライブ中、彼はいつだって黄色だった。
あまりにも隙がなくて、彼はずっと演者だった。
今思い出しても、完全さにあばらの奥がキシキシと痛んでくる。
わたしが祈り/願い/呪いのように手元に持っている渇いた花までも、全く意味のない主張みたいで情けなくなる。
彼がいるなら、花はいらないのだろう、本当は。
物体ではないモノに、彼は執着するのだろうか。
彼の認識は難しい。
とてもシンプルなのだけど
アイドルが、全てではないから、何者なのかを一言では表現できないし、場によって彼は何者にでもなるし、何者でもなくなる。
着色されたカーネーションは落ちて 私たちの負けが決まり、いつだって負けていたい
どっしりした現実を私たちと変わらず生きているのに、少し先の高いところに軽やかに飛んでいく。本当は、全く軽やかではないのに。
いつまでたってもつかむことが出来ない
だからたまに、彼の本質か、本性かもわからないものに触れる、
限りなく個人的な言葉にものすごく気付かされ、
私たちは激しく、首を 首を自ら締めていたことを自覚する
あなた、人間
みんなのダーリンになろう 嘘をつかない 辛くて優しい 教育を
厚底だってヘアメイクだってある程度どうだっていいんでしょう
そんな、手元の子供達のイマを教えられたって 頭に残していないんじゃないかな
少し先の未来、あるいは遠い未来のために今できることを考えて行動する彼がすき
どうしようもなく、広い視野への意識が癖になっている 彼がすき
泣く怒るしか知らなかった二十歳で 彼を見つけてしまった 春
その次の春に、彼に興味があることを認めた
自己肯定感が高い彼は、いつだって彼の想定内の美しさを振舞ってくれる
わずかな彼の動きが多くの子供達の明日を左右するけれど、重みかどうか感じないでほしい 私たち、子供たちは勝手に咲くし、勝手にしおれるのだ。
そして、彼が寂しさに気づかないための、443,900人だよ
今年の夏は、スターチスを毎回手元に持つことに決めた。
「途絶えぬ記憶」
わたしだって本当は、何も忘れたくないんだよ
花は、彼に負けてしまうけれど、わたしの最大の敬意なんだよ
彼の手元には渡らない、行為だけのスーベニア
与えられ続けることが、こんなに苦しいのは始めてだ。
どうか、彼には長く黄色であってほしい 多くの子供が望んでいると思う
本当は、黄色でもなんでもいい。
彼が何かを選ぶときに、たくさんの選択肢が用意されていてほしい
わたしは、わたしたちはいつまで彼を見ていられるかは全く、わからないのだから
いつだって、贈りたい
形には残らなくて、彼の未来に生きる何かを
放っておくべきなんでしょう
心配しなくても、何も贈らなくても、
いつだって最高のコンディションを持ってこれる彼だから
大きな海で泳ぐ姿が、もう見えなくなっても砂浜で見ていることしか出来ない
泳げない、女
ずっとずっと 遠くで揺れる水面を眺めることしか選ばない
真夏だね
今年の天秤座は、ひとり旅から帰ってくるらしいよ
トラウマになりそうな暑い夏に
彼の豊かで惜しみないスーベニアで窒息したい
わたしの夏は、あなたがセめてよ